【Blender】レンダリングを高速化する最適な設定方法
ハイスペックなPC環境であっても、レンダリングに膨大な時間がかかってしまう問題は、多くの3Dクリエイターが直面する共通の悩みです。
しかし、基本的な設定を少し見直すだけで、この問題は劇的に改善できる可能性があります。本記事では、Blenderをご利用の皆様に向けて、「レンダリングの品質(画質)を維持したまま、レンダリング速度を向上させる」ための具体的な最適化の手順を詳しく解説いたします。

レンダープロパティ(Render Properties)
まずBlenderを起動し、「プロパティ」タブ内にある「レンダープロパティ」を開きます。

もし該当のタブが見当たらない場合は、新しいウィンドウ(エディターエリア)をドラッグして分割し、「プロパティ」に切り替えるか、キーボードのショートカットキー [Shift] + [F7] を押して表示させてください。

※ご注意:
本記事でご紹介する最適化設定は、「Cycles」レンダーエンジン専用となります。他のレンダーエンジン(Eeveeなど)では同様の設定項目がない、あるいは効果が得られない場合がございますので、あらかじめご了承ください。
デバイス(Device)
まず、互換性のあるグラフィックボード(GPU)を搭載している環境であれば、レンダーデバイスを「CPU」から「GPU演算(GPU Compute)」に変更してください。

GPU(グラフィックボード):多数のコアを搭載しており、レンダリング処理を細かく分割して並行処理できるため、圧倒的なスピードでレンダリングが可能です。
CPU(プロセッサ):GPUと比較してコア数が少ないため、レンダリングに時間がかかります。
※ 専用のグラフィックボードが搭載されていないPC環境では、このオプションはグレーアウトして選択できない仕様となっております。

【GPUの有効化手順】
画面左上の「編集(Edit)」メニューから「プリファレンス(Preferences)」を開きます。次に「システム(System)」タブへ移動し、お使いのGPUに合わせて適切なレンダーデバイスを選択してください。
- NVIDIA製GPUをご利用の場合:「OptiX」を推奨いたします。
- AMD製GPUをご利用の場合:「HIP」をお試しください。

ノイズしきい値(Noise Threshold)
プロパティパネルを下にスクロールすると、「サンプリング(Sampling)」タブ内に「ノイズしきい値」の設定項目があります。ここでは「ビューポート(Viewport)」ではなく、必ず「レンダー(Render)」側の設定を変更していることをご確認ください。
(※ ビューポート上でも同様の描画スピードを求めたい場合は、レンダー側と同じ数値をビューポート側にも設定してください。)

【ノイズしきい値の仕組みと推奨値】
この機能は、レンダリング中のノイズが一定のレベルまで減少した時点で、自動的に計算を停止させるものです。数値を低く設定するほどノイズは減りますが、その分レンダリング時間は増加します。
品質(画質)とパフォーマンス(速度)のバランスを最適に保つための推奨値は「0.1」です。多くの場合この数値で十分な結果が得られますが、もし仕上がりにノイズが目立つ場合は、数値を「0.075」まで下げて調整してみてください。

【デノイズとサンプル数の設定】
ノイズしきい値の機能によってレンダリングは自動的に適切なタイミングで停止するため、最大サンプル数(Samples)は「1000」のままで構いません。
さらに、デノイザー(Denoiser)の設定を「OpenImageDenoise」に変更し、品質(Quality)を「高(High)」に設定してください。
最終的なサンプリング設定は以下のようになります:

ライトパス(Light Paths)
レンダープロパティ内にある「ライトパス」の設定は、レンダリング時における光の挙動を制御する重要な項目です。この数値は、光がオブジェクトの表面で反射(バウンス)または相互作用する回数を管理します。この設定を調整することで、レンダリングの品質とパフォーマンスの双方に影響を与えるため、プロジェクトに応じたテスト(実験的な調整)が必要です。

【合計バウンス数の最適化】
「合計(Total)」バウンス数のデフォルト値は「12」に設定されていますが、これを「8」に下げても、多くの場合問題なく綺麗にレンダリングされます。
設定変更後は、必ずビューポート上でレンダリングのプレビューを確認し、光の表現に不自然な点やバグが生じていないかチェックしてください。
もし異常が見られる場合は、数値を「9」または「10」に少し上げて調整を行うことをお勧めいたします。
パフォーマンス(Performance)
さらにプロパティパネルを下にスクロールし、「フィルム(Film)」タブの下にある「パフォーマンス(Performance)」タブを開きます。

【空間分割と永続データの有効化】
- 「アクセラレーション構造(Acceleration Structure)」メニューを開き、「空間分割を使用(Use Spatial Splits)」にチェックを入れて有効にします。
- 次に、「最終レンダー(Final Render)」メニューを開き、「永続データ(Persistent Data)」にもチェックを入れて有効にしてください。
【設定の効果について】
この「永続データ」を有効にすると、最初のフレームをレンダリングする際に読み込まれたすべてのテクスチャやアセットのデータがメモリに保持(キャッシュ)され、2フレーム目以降のレンダリングでそのデータが再利用されます。
通常、大量のテクスチャやアセットを含むプロジェクトでは、1フレームごとにテクスチャの計算を行うため、それだけで1〜2分程度のロスが発生します。
しかし、これらのオプションを有効にすることで、計算が最初の1回のみで済むため、アニメーションレンダリングの全体的な速度が飛躍的に向上します。
出力(Output)
Blenderでは、レンダリングされた画像を「PNG」形式で保存する処理にも意外と多くの時間がかかります。この保存形式を、より最適化された高速なフォーマットに変更することで、全体の作業時間をさらに短縮することが可能です。
【出力形式の変更手順】
設定を変更するには、「レンダープロパティ」タブのすぐ下にある「出力プロパティ(Output Properties)」タブを開きます。

「出力(Output)」メニュー内にある設定を以下のように変更してください:
- ファイルフォーマット(File Format):「OpenEXR」を選択
- コーデック(Codec):「DWAA (lossy / 非可逆)」を選択

レンダーテスト(Render Test)
これらの新しい設定を適用することで、Blenderのレンダリング時間は約20%短縮される見込みです。 以下の画像は、デフォルト設定と新しい設定でのテストレンダリングの比較です。

画質に大きな違いは見られませんが、レンダリング時間は21分からわずか43秒へと劇的に短縮されています。

【画質の微調整:ピクセルフィルター】
さらにレンダリングの解像感(画質)を向上させたい場合は、「フィルム(Film)」タブ内にある「ピクセルフィルター(Pixel Filter)」の「幅(Width)」の数値を変更します。

この数値を「1.00 px」に変更すると、よりシャープなレンダリング結果が得られます。ピクセル値の高低による仕上がりの違いは以下の通りです。

【レンダーファームで圧倒的な高速化を】
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Extra 3d氏によるこちらの解説動画(英語)も併せてチェックしてみてください:
